[松葉ヶ霊跡安国論寺]
お施餓鬼ってなんだろう?-鎌倉安国論寺
2010年8月 5日
毎年この時期に多くのお寺さんで開かれるお施餓鬼会という行事を皆さんはご存知でしょうか?
やや硬くなりますが、『岩波仏教事典』の定義では、「餓鬼道にあって苦しむ一切の衆生に食物を施して供養をすることで、特にその法会をいう。」とあります。宗教的にいえば、難しい定義もありますが、現在ではお寺さんの年間行事において最も規模が大きいもので、夏の風物詩でもあり俳句の季語にも採り入れられています。
すなわち六道(天上道、修羅道、人間道、畜生道、餓鬼道、地獄道)のうちの餓鬼道に迷い、自らこの苦しみから脱せない餓鬼に食べ物を施すことで、その功徳がそのまま先祖供養につながると考え、併せて食べ物に対する感謝の念を自覚しようとする法要といえます。
今回伺った鎌倉市の安国論寺の施餓鬼法要は、8月1日に行われました。例年以上に暑い日が続く、今年の夏にも関わらず、午後2時からの法要に合わせて、檀家の皆様が続々と集って来ました。
安国論寺は、そもそも日蓮上人が鎌倉時代に有名な『立正安国論』を執筆したお寺として有名なお寺です。現在もその頃の史跡を多く見ることができます。
法要にはまだ1~2時間ほど間がありましたが、多くの方が来寺され、大粒の汗を流しながら墓参に勤しんでいました。
上は「お休み処」ですが、皆さん和気藹々とした雰囲気の中でで、法要前のひととき談笑されていました。
お施餓鬼というと敷居が高い印象を受けますが、実態は「お寺さんのお祭り」に近く、肩の凝らない行事なのです。
最後に、この行事を悠然と眺めている様子で印象に残った動物がいました。このお寺さんの飼い猫「コウタロウ」です。
この日は朝から慌しく、コウタロウも、いつもの朝との違いを感じ、何となく落ち着かない様子でした。ただ、その「コウタロウ」も暑さには勝てないらしく、喉を潤すのに一心に水を飲んでいました。
しかし、飲み終わったら、悠然と山門前で一休みです。暑さでバテ気味だった私は、コウタロウの泰然自若ぶりを、少し羨ましい気持ちで眺めていました。
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