孫と学ぶ生活のしきたり

お正月のしきたり

注連縄(しめ縄)は何のために張るの?

注連縄

お正月が近くなると、神棚や商店街の軒先に白い紙(『しで』と呼ばれています)を付けた細長い縄が張られるのを見た事があると思いますが、これを注連縄といいます。

注連縄は神様などがいる神聖な場所に外から汚いものや悪いものが入り込まないようにするための境界線・区切り(結界・けっかい)の意味があります。

注連縄の起源は、古事記にも見られます。天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れてしまい、世界は暗闇に閉ざされてしまいました。そこでその隠れているところで宴を催したところ、笑い声に誘われて出て来てくれました。そこで再び隠れる事が出来ないように入り口に「しめくり縄」を張ってふさいだという事が記されています。この「しめくり縄」が注連縄の起源だといわれています。


又しめ縄は稲を干したものを使って作りますが、近畿地方では「しで」の他に農具や農作物をかたどったものを一緒に吊り下げる風習もある事から、稲作文化と深く関係しているとも言われています。

年賀状はいつ始まったの?

本来お正月には、いつもお世話になっている人を訪ねて挨拶をする習慣がありました。しかし遠方だったりで直接訪ねていけないような場合には、手紙で挨拶をしたのが年賀状のはじまりと言われています。

現在のように12月中に投函された年賀状を1月1日に配達する制度が始まったのは明治32(1899)年だそうです。(郵便事業制度が始まったのは明治4(1871)年)
ちなみに明治32年のほかの主な出来事としては、勝海舟が亡くなったこと、国産初の活動写真(今でいう映画)が東京・歌舞伎座で上映されたことがあげられます。

お正月にはなぜだるまを買うの?

だるま

だるまは、インドのえらいお坊さんの「だるま大師」が、座禅(ざぜん)という静かに座って心を静める修行をしている様子に似せて作った置物です。

だるま大師には9年間もの間座禅をして、手も足も無くなってしまったいう言い伝えがあり、だるまの置物も手足のないものになっています。

また日本には「起き上がりこぼし(小法師)」という、底に重りをつけて、倒しても起き上がる人形があります。何度でも起き上がるところが、座禅をし続けるだるま大師の話と結びつき、だるまの顔が書かれるようになって、現在のような形になりました。またこの何度でも起き上がる様子が、「七転び八起き」の縁起のよいものとして好まれるようになりました。


だるまの赤い色は、だるま大師が赤い衣を着ていたことに由来しているとか、赤色には魔よけの効果があると信じられていたことに由来しているなどとも言われています。

年末年始には、この縁起物のだるまを売る市があちらこちらで開かれます。 お正月には新しい年の願い事や目標のこめて、だるまを買います。最初は片方の目玉だけを書き入れ、願いごとがかなうともう一つの目も書き入れます。

あなたの願いごとは何ですか?

「初夢」っていつ見る夢?

富士山

「初夢」とは新年の最初に見る夢のことです。 いつ見る夢かと言うと、「大晦日」、「1月1日」、「1月2日」、他にも古くは「節分の夜」などいろいろな説があります。

昔から、縁起の良い夢を見ると、「夢見が良い」と言って喜ばれていました。 よく初夢に見るとおめでたい夢として、「一富士、二鷹、三なすび」と言われます。どうしてこの3つが良い夢なのかは、徳川家康が好きだったものだからとか、“富士は日本一の山”、“鷹は賢く強い鳥”、“なすは事を「成す」”などいろいろな説がありますが、「富士山」「鷹」「なす」は幸せのキーワードのようです。


昔の人は夢に不思議な力があると感じていたのでしょう。良い夢が見られるように「宝船」の絵を枕の下に入れたりしました。おまじないの一種ですね。
今の子供たちもおまじないは大好き。子供たちが願う素敵な初夢が見られるといいですね。

鏡もちは何のためにかざるの?鏡開きって何?

鏡もち

鏡もちは、年の初めにやってくる年神様にお供えするおもちです。
なぜ鏡もちと呼ぶかというと、丸い形がむかしの鏡(銅鏡)に似ていることからといわれています。鏡は神さまが宿るところとされていました。

そして1月11日にこの鏡もちをおしるこなどにして食べることを、「鏡開き」といいます。

かつては「鏡開き」は1月20日に行っていましたが、3代将軍・徳川家光が亡くなった日が20日だったため、11日に変更されたと言われています。


鏡もちは、包丁で切ると縁起が悪いといわれ、手や木づちで割るのがしきたりです。鏡開きの日に、年神さまにお供えしたおもちを食べることによって、神さまの力を分けてもらい、1年間元気で幸せに過ごせると言われています。

門松はどうして立てるの?

門松

お正月は、もともと「年神(としがみ)」という神様を家に迎えるお祭りです。
年神様は、先祖の神様とも、田の神様とも言われていて、年末の13日に準備された門松を依り代として1月7日(地域によっては15日)の小正月までいると言われています。

年神様には、おせちやおもちなどをおそなえして、新しい年の家内安全と繁栄を願います。

門松はお盆のちょうちんで先祖を迎えるのと同じく、年神様が来られる時の目印として立てるものでもあるのです。