孫と学ぶ生活のしきたり

年末のしきたり

煤払い(すすはらい)

江戸時代、千代田城をはじめ一般の人たちは12月13日を「年取りの始め」とか「正月事始め」といって、お正月の準備をスタートしました。

この日を目安にして門松用の松を山から切り出して来たり、家の中の大掃除を始めました。 都合で家の掃除が遅れても、神棚や仏様の「煤払い」(大そうじ)だけは必ず行われていたようです。

最近は生活が忙しくなり、13日では早すぎるということで、25日や28日になってきました。 また、住み込みで働く使用人の交替や、親戚同士、使用人とご主人の間の贈り物のやり取りも、この日に行われていたようです。

冬至(とうじ)にかぼちゃを食べたり、ゆず湯に入るのはなぜ?

かぼちゃ

12月22日~23日ごろは、太陽が冬至線の真上に直射する時です。太陽が一番南に来て低い位置になる為、一年の中で昼の長さが最も短く夜が長くなります。
この頃から寒さもいっそう厳しくなり、いよいよ本格的な冬のスタートになるのですが、日差しはこの日をさかいに『畳の目一目ずつ』『米粒一粒ずつ』長くなっていきます。
作物だけでなく人や動物達にとっても暖かい太陽の復活はとてもうれしい事ですので、西洋のサンタクロースの訪問と同じように、日本でも冬至の日には『神聖な旅人が訪ねてくる』という言い伝えのある地方もあるようです。


この日には皆さんのお家でも『かぼちゃ』や『こんにゃく』を食べたり、夜はお風呂にゆずをたくさん浮かべて『ゆず湯』を楽しんだりします。 この時期になぜ『かぼちゃ』や『ゆず湯』なのでしょう。もともとかぼちゃは夏の野菜です。今では季節を問わず、どのような野菜でも簡単に手に入れることが出来ますが、昔は冬の寒い季節の野菜不足を補うものとして保存が利き、カロチンの豊富に含まれている『かぼちゃ』はとても貴重な栄養源だったといえます。

『冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない』と言われるのもこのような理由があるのですね。また、『ゆず』にはビタミンCの他にリモネンという成分が含まれているので、お肌もすべすべになるだけでなく新陳代謝を活発にするので、体も温まり風邪も引きにくくなるのです。

寒い冬を元気に過ごすために、昔の人の知恵がつまった行事なのですね。

年の市

12月の中頃から年末にかけて、お正月の贈り物や縁起の良いもの・日用品を売る市が立ちます。これは昔、人々がお正月を迎えるために、それぞれ作物や海産物、いらなくなった物をお互いに物々交換していたことがはじまりです。

デパートやお店で「歳末(さいまつ)大売出し」といったセールが行われたり、各地に残っている植木市・ボロ市・つめ市というのもこれらの名残りでしょう。

東京では12月17日・18日に浅草観音で行われる「浅草観音市」がもっとも古く大きな年の市です。

どうして年越しそばを食べるの?

年越しそば

大晦日の夜、おそばを食べるのは、細く長いそばを食べることによって、長生きができますように、新しい年を迎えて家族みんなが健康で幸せにくらせますように、という願いをこめたものです。 また昔、金銀の細工の仕事をしていた人が、練ったそば粉を使って、床に落ちてしまった金銀をひろい集めたことから、縁起の良いものとして年越しに食べるようになったとも言われています。 また他にもそばは切れやすいことから、新年を迎えるにあたって古い年の苦労や災いを断ち切ってしまいたいと願ったという説もあります。


除夜の鐘は何のためにつくの?

除夜の鐘

大晦日の夜、寺院では除夜の鐘をつきますが、これは人間が本来持っている108の煩悩を、鐘を鳴らすことで取り除こうと言うものです。

一般的には、大晦日の12時をはさんで108回つくと言われていますが、その数に関してはいろいろな説があります。いずれにしても、古い年にあった悲しい事、いやな事は忘れ、新しい年には良い事がありますようにとの願いを込めているものでしょう。


大晦日の日は、どうして夜中まで起きていいの?

大晦日から元旦までの間、つまり12月31日の晩は「年越し」「お年とり」といっていつもの夜とは違う厳粛で特別な過ごし方をしました。
地域によっては「年神様」「お正月様」を迎えるために、厳重な物忌みをして火を焚き続けて夜を明かしたり(お篭り等もあったようです)、「おせち」といわれる特別のごちそうを食べたりしたところもあったようです。

最近ではずっと簡単になってはいますが、年越しそばを食べ、除夜の鐘と共に家族揃って氏神様へ初詣に行く人も多いようです。

普段は「いつまで起きてるの!早く寝なさい!」と叱られている子供たちも、この日だけは夜遅くまでテレビを見たり、おしゃべりをしていてもいいのは、古いとしから新しい年に変わる大切な節目の夜で、特別な日だからなのです。