ひと口に墓石といっても、その形には様々なものがあります。
一般的な和型・洋型から、五輪塔・大名墓などの特殊型といわれるものもあり、近年では、より個性的な形の「デザイン墓石」の人気が高まってきています。
お墓に託す想いを墓石で表現することができるデザイン墓石の魅力を、その制作に携わる3人のプロフェッショナルがご紹介します。

高い評価を得ている大野屋の2種類のデザイン墓石

藤井:
これまでの日本の墓石は和型といわれる形が一般的であり、稀に五輪塔や大名墓などの特殊型といわれるものがある程度でしたが、芝生を敷き詰めた区画を持つ霊園の普及などに伴って、洋型といわれる洋風の墓石も増えてきています。しかし、和型にしても洋型にしても基本的な形は決まっているのが実情でした。近年人気が高まっているデザイン墓石とは、和型でも洋型でも特殊型でもない、まったく新しい形の墓石の総称です。大野屋で扱うデザイン墓石は、大きく「レディメイド」型と「オーダーメイド」型の2つに分けられます。お客様のお墓への想いを形にするという、大野屋の最も得意とする分野であり、内外から高い評価を得ています。

自由度の高さが魅力のレディメイド型デザイン墓石

芦田:
「レディメイド」型とは、大野屋が独自に制作した"オリジナルのデザイン石碑"のことです。和型でも洋型でも特殊型でもない多彩なひな型をベースに、お客様のご意見やご要望に合わせてデザインを変えていくことができます。数あるひな型のなかでも、『風雅』というデザインは高い人気を得ています。シンプルな造形でありながら、背丈やボリューム感も十分。双方の魅力を合わせもつ和洋折衷型のたたずまいが、選ばれている理由だと思います。販売までには、石碑販売の営業担当と何度も相談を重ねてデザインに落とし込みました。それでも8、9年前の売り出し当初はほとんど売れませんでした(笑)。お客様のニーズを咀嚼しながら少しずつマイナーチェンジを繰り返すうちに、多くのお客様から選んでいただけるようになりました。わずかな寸法の差がこれほど影響力をもつとは思いませんでした。

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田宮:
デザイン変更の自由度が高いことは、レディメイドの大きな魅力だと思います。しっかりとしたベースがあるので、オーダーメイドまでは求めないけれど人とは違う個性を演出したいというお客様にも満足いただけると思います。ご要望があれば可能な限り対応することができますし、極端なことをいえば、まったく違ったデザインに見えるような変更も承ります。また、使用する石によってイメージもずいぶん変わってきますので、厳選された17種類の石材をご用意しています。稀に大理石をご希望されるお客様がいらっしゃいますが、大理石は酸性雨に弱く墓石には適していないので、そういった話も含めてご提案いたします。

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お客様の"理想"を形にするオーダーメイド型デザイン墓石

田宮:
オーダーメイドの場合は、お客様のご要望を出発点としてデザインを作り上げていきます。オーダーメイドをご希望されるお客様には、具体的な図面を引いてこられる方やミリ単位のこだわりをもつ方もいらっしゃいます。漠然と『シャープなデザインにしてほしい』というご希望をいただくこともありますね。ある程度、具体的なデザインイメージをお持ちの方の場合は、お骨を納めるといった墓石としての基本機能を十分に満たせるような配慮をしますし、素材の耐性などの問題でご希望通りのデザインが難しいケースなどの場合は、こちからアドバイスを加えながら理想的な形を目指していきます。オーダーメイドの難しさは、ご希望のデザイン通りに進めていくと、実際の据え付けに支障が生じたり、納骨ができないといった弊害が発生するところにあります。そこは墓石のプロとして、据え付けや納骨を念頭に置きながら、お客様のご意向を最大限実現できるように試行錯誤を重ねていきます。また、漠然としたご要望のお客様には、時間の許す範囲で複数のデザイン案をご提示します。具体的な形にしてお見せすると、お客様の頭の中でイメージを描くことができるので、「ここをこうしたい」といった意見ができてきます。和型か洋型かといった基本的なところから始まって細かい細部の調整まで、打ち合わせを重ねながら最終的なデザインに落とし込んでいきます。

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シンプルさのなかに宿るオリジナリティを目指して

芦田:
お墓は、建てたお客様だけではなく、その後も子々孫々と永く継承されていくものです。極端すぎるデザインにするよりも、シンプルさを大切にしながら、オリジナリティを出していくことを重視しています。お客様のイメージの具現化を常に考えていますが、より良い墓石の実現のために、バランスなどの細部にアドバイスをすることもあります。また、墓石だけを考えてデザインされる方も多いのですが、外柵の形もお墓のたたずまいに大きく関わってくるので、お墓を考える上では大事なポイントになります。レディメイドは展示会場にあるので、現物をご覧になって即決されるお客様も少なくありません。まったくの白紙からのオリジナルデザインになると、何度もやり取りをして完成予想図を作り込んでいくので1、2カ月かかるケースもありますが、出来上がったときの喜びはひとしおです。

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世界に一つしかないお墓オリジナル墓石の魅力

田宮:
最近では、デザイン墓石を求めるお客様の割合が増えています。やはり、"世界に一つしかないお墓"という付加価値が、オーダーメイド型デザイン墓石の最大の魅力だと思います。また、ご遺族の方がお墓を建てるようなケースでは、故人が生前に好きだったものをモチーフにしてデザインしていくなど、故人を偲ぶ想いの強さがそのままデザインにも反映され、"その方らしいお墓"の形が見えてきます。レディメイド型であっても、理想に近いベースを選んで自分の好みやこだわりを加味していくことができる柔軟性が、多くのお客様から支持されているのだと思います。
藤井:
ガラスを使った墓石というご要望をいただくこともあります。全てをガラスにする方もいれば、石をくり抜いて嵌め込む方もいらっしゃいます。少し前になりますが、外柵にガラスを嵌めたいというご要望をもつお客様がいらっしゃいました。石碑をガラスで表現するという事例な少なくないのですが、羽目(外柵の枠石)のところに差し込んで、まるで屏風のようなイメージとして使用するのは画期的な発想でした。当時は完成イメージの予測ができなかったのですが、仕上がった写真を見たときは非常に奇麗だと感激したことを覚えています。オリジナルデザイン墓石は、非常にたくさんの可能性を秘めていると改めて感じました。
田宮:
個性的な方では、「山が好きだから山を表現してほしい」というお客様もいらっしゃいました。自然石を使いたいというお客様もいらっしゃいますが、分解や加工が画一化できないので、お客様のイメージに合わせるのが一番難しいんです。昨今でも自然石を希望されたお客様で、完成時に「ちょっと違う」となり、職人さんを呼んでお客様の見ている前でカンカンと削っていただいて希望の形に近づけたこともありました(笑)。難しい行程も多いデザイン墓石ですが、"お客様のご要望に100%お応えしたい"という気概で常に努めています。お客様に「イメージ通りのお墓ができた。ありがとう」と感謝の言葉をいただけたときが一番うれしいですし、デザイン墓石の魅力をお伝えできて良かったと思える瞬間です。

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Interview

物流本部 関東工事部 設計・彫刻・発注グループ

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    マネージャー
    藤井 幸浩(ふじい ゆきひろ) 
    設計・発注を担当して11年。スピードと正確性を心がけお客様のご要望を汲み取りながらより良い提案を考えています。趣味はキャンプです。
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    チーフ(設計・発注)
    田宮 和之(たみや かずゆき) 
    設計・発注を担当して7年。心がけている事は、お客様のご要望に少しでもお応えする事。趣味は野球やバレー等のスポーツで、仕事に私生活に充実感を感じています。
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    芦田 あさみ(あしだ あさみ) 
    設計・発注の仕事を担当して10年。心がけている事は、どんな相手に対しても、話を良く聞く事。趣味は旅行と美術鑑賞です。旅先でその地方・都市の美術館を訪ねたりしています。

→お墓のデザインについての詳細はこちら

※プロフィールおよびインタビュー内容は2015年3月時点のものです

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