このほど大野屋では、「もしも会員」向けサービスのひとつとして「家系図作成サービス」を新たに加えました。家系図を作成するのは、人気ドキュメンタリー番組に制作協力実績などもある株式会社トラディション・ブルーです。本稿では、該社の代表取締役・秦 政雄さんにお話をうかがいました。

家族の絆をきちんと整理し可視化することで絆を後世に繋いでいく、
それが「家系図」を作る目的としてあるのだと思います。

――「家系図作成サービス」を始めたきっかけは何だったのですか?
秦:
私が32歳の時に、懇意にしていた叔父が突然亡くなりました。私にとってはとても衝撃的な出来事で、死とは、生とは何か、ということを深く考えさせられるきっかけでした。いろいろと考える中で気づいたことがありました。それは、『人が生まれ、そして死んでいくというのは、過去から現在、そして未来へとつながる命のリレーをしている』といえるのではないかということです。親から子へ、子から孫へと連綿と続く命のリレーは、人と人のつながり、絆そのものでもあるわけです。そうした人と人のつながりに関わるような事業、また、いろいろな方の生きた証を残すお手伝いができないかと考えた時にたどり着いたのが「家系図作成サービス」でした。そこで、2007年に株式会社トラディション・ブルーを設立し、現在に至ります。

――「家系図作成サービス」を利用される方はどんな方が多いのですか?
秦:
いろいろな方にご利用いただいていますが、年代で言うと50 代以上の方に多くご利用いただいています。もちろん、30 代・40 代の方もいらっしゃいますが、やはりいろいろな経験を積み重ねてきた方が多いという傾向はあります。きっかけになるのは、やはり身内の死が多いように見受けられます。あるいは逆に、子や孫の誕生です。身の周りで起きた悲しい「死」や嬉しい「生」など、「死生観」を意識した時に、家系図を作ろうと思われる方が多いようです。
  ですから、この度、大野屋様が「もしも会員」の皆様に向けて家系図作成サービスを特典の一つに加えられたことは、とても意義のあることだと思っています。ご自身の、あるいはお身内の万が一の事態を考えて「もしも会員」に加入される方というのは、ある意味で「死生観」について思い至った方々だと思います。直截的にはお葬式やお墓などについてお考えになることが中心だと思いますが、それは同時にご自身のルーツに思いを馳せたり、家族の絆について考える契機にもなるのではないでしょうか。そうした方々に、家族の絆や、ご自身のルーツなどを改めて知るツールとして「家系図」をご紹介できることは、きっと有意義なことだと考えています。また、企業経営されている方が、事業継承のタイミングで作られることもよくあります。おそらく、事業をご子息などのお身内に譲られる際に、家族の世代交代を思われて、家系図を作られるのではないでしょうか。いずれにせよ、家族の絆をきちんと整理し可視化することで、その絆を後世へ繋いでいきたいという願いが、家系図を作る目的としてあるのだと思います。伝統的な「一般家系図」「本格家系図」、新しい「西洋家系図」など豊富なバリエーションをラインナップしています。

伝統的な「一般家系図」「本格家系図」、新しい「西洋家系図」など
豊富なバリエーションをラインナップしています。

――家系図作成にもバリエーションがあるのですか?
秦:
大きく分けると、東洋家系図と西洋家系図があります。「家系図」と聞いて、多くの方がイメージされる家系図が東洋家系図です。樹形図のような形でまとめられるものです。これに対して西洋家系図は、現在の自分を始点(中心)として、円形に外側に広がっていく家系図です。東洋家系図に比べて、新しいタイプの家系図といえます。

秦:
また、ご先祖をどこまで遡って記述するかによって、一般家系図と本格家系図というバリエーションもご用意しています。「一般家系図」は収集可能な戸籍類を全国の市区町村役場から集め、調査・作成するものです。戸籍に記載されている人物の関係や、ひとりひとりの生没年月日を家系図にして可視化します。明らかになる代数は平均4~6代、約150年前までとなります。一方の「本格家系図」は、役場に残る戸籍よりも古い時代まで遡るものです。一般家系図と同様に戸籍類を調査した後、ご本人はもとより関係者の方などの取材を通じて、菩提寺や本家を特定し、墓石や過去帳、さらには郷土資料などを可能な限り調査します。明らかになる代数は7代以上、約300年にも及ぶこともあります。当社では、この本格家系図を、家系図の最高峰と位置付けています。
  なお、伝統な家系図のアウトプットの形としては、ひとめで家系図を見られるタイプの縦系図と、後から追記ができるタイプの横系図があります。若いお客様ですと西洋家系図をご希望される方もいらっしゃいますが、お客様の年齢層が比較的高いので、どちらかというと本格家系図、もしくは一般家系図に興味がある方が多いです。また、比較的取り組みやすい一般家系図を作成した後で、もっと遡った家系図を見たいということで、本格家系図をご依頼いただくこともあります。当社で一般家系図をお作りになられたお客様から、後日改めて本格家系図のご依頼をいただいた場合には、本格家系図の作成費用から、一般家系図作成時の費用を差し引いておりますので、費用が二重になることはありません。

読み取り困難な文字の判読力、
多角的な資料の調査・照合ノウハウにより、
精度の高い家系図作成を実現しているのが、当社の強みです。

――家系図作成において、気を付けている点などありますか?
秦:
戸籍を取り寄せることは誰でもできますが、取り漏れなく完璧に網羅するのは簡単ではありません。また、昔の戸籍は手書きなので、クセのある字だと読めなかったり、誤読してしまうことが多々あります。また、今では使う事のない変体仮名が多用されているような場合には、専門性がないと判読はなかなか難しいものです。当社では、より正しい家系図を作成するため、取り漏れがないように細心の注意を払うことはもちろん、特殊な文字や読みづらい文字を解読するノウハウを蓄積しています。また、正確性を期すためには、多角的な情報収集とそれらの照会が不可欠です。一般家系図でしたら、判読の難しい箇所に関して、同じ方が書いたであろう戸籍を細部まで見渡し、その人のクセを読み取って判断したり、役所に問い合わせて照合してもらったりすることで、解決することも少なくありません。一方の本格家系図に関しては、ひとつの記録を鵜呑みにするのではなく、過去帳や墓石、位牌などをすべて総合的に整理して、それぞれの記述が正しいか判断します。さらには伝承や昔の村落のことに詳しい古老を訪ねて話を聞いたり、郷土資料、由緒書きなどを丹念に探りながら作成していきます。本格家系図の作成においては現地調査が基本となりますので、まさに時間と体を使った取り組みになります。

完成した家系図をお届けした際に、
お客様の喜ぶ姿が見られるのが、この仕事のやりがいですね。

――出来上がった家系図を手にした時の、お客様の反応はどのようなものでしょうか?
秦:
手前味噌ですが、ほとんどの方に喜んでいただけます。普通に考えれば、ご自身が把握している親族といえば、せいぜい子ども・自分(と兄弟姉妹)・親・祖父母の4 世代くらいだと思います。また、4 世代といっても、おじ・おば・いとことの関係は疎遠になっていくので、意識としては狭い範囲に限られています。ところが、出来上がった家系図を見てみると、自分も知らないような、たくさんの人が載っているわけです。驚嘆されるとともに、「あのおじさんはこういう関係の人だったのね」などと、冠婚葬祭でしか顔を合わせないような親戚との関係がはっきりし、親近感が生まれたりもするようです。また、家系図は単調なもののようでいて、よく見ると、ご先祖様が命のバトンを繋げようと必死に生きた生き様が表れています。それを見て、連綿と繋がる家族の絆に感嘆しつつ、家族共通の新しい話題に花が咲く、という光景がよく見られます。そうしたお客様の姿を目の当たりにすると、自分たちの仕事がお役に立ったのだと実感できます。そうした瞬間に立ち会えることが、この仕事のやりがいです。

Interview

  • 秦 政雄(はた まさお)
    1972年 東京都生まれ。明治大学政治経済学部経済学科。 2008 年3 月早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(現在の早稲田大学大学院商学研究科)専門職学位課程国際経営学(MBA)修了。現在、早稲田大学WBS 研究センター特別研究員、日本家族社会学会正会員。2007年 株式会社トラディション・ブルーを設立し、代表取締役に就任。


株式会社トラディション・ブルー

2007 年設立。家系図作成サービスを中心に、さまざまな事業分野をもつ。現在、確かな家族情報の集積&共有サイト「ファミリー・ストレージ」(会員制、登録は無料)を展開している。これは、ネット上で、親子、兄弟姉妹、叔父叔母、姪や甥などの身近な家族のファミリーマップを広げることができる、家族を単位としたSNS サービスといえる。お寺やお墓などのファミリー情報や名前、生没年月日、血液、健康・病気などの詳細なパーソナル情報の書き込みもでき、法事・法要などのファミリーイベントを管理することもできる。

大野屋では「もしも会員」の会員特典として
「家系図作成サービス」を特別価格にてご提供いたします。

※プロフィールおよびインタビュー内容は2016年8月時点のものです

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